若手キャリア官僚は今こんなことを考えています

※このブログは私が所属する組織の見解を示すものではなく、あくまで個人の見解に基づくものであります。また正確性を一義的な目的とはしていないため、事実であるかどうかの裏づけを得ていない情報に基づく発信や不確かな内容の発信が含まれる可能性があります。

官僚は選挙期間中何をやっているのか〜行政に空白など無いのです〜

(以前から読んでくださっている方は)お久しぶりです。

夏が明けていよいよ年末に向けて本格稼働だなぁという時期になった矢先、想定外の解散総選挙となってしまいました。

色々と書きたいことが溜まってきてはいるのですが、選挙というのは民主主義においてもっとも重要なイベントであり、官僚ブログがそれを無視するわけにはいかんでしょうということで、選挙のことも書いていきたいと思います。特定の政治を応援してはいかん云々のルールに抵触しない範囲で。

 

とはいえ、ここ数日は政局が先行して盛り上がり、各党の主張がいまいち出揃っていないのでそのあたりの話もしづらいのです。

そんな中、「政治空白」というキーワードをちらほら見かけます。つまり、北朝鮮やら何やらがきな臭い中、選挙なんてやって「政治空白」を作ってよいのかと。

なるほど、確かに、総理以下政務三役(大臣・副大臣政務官のこと)が地方に帰ってしまい重要な意思決定ができなくなるのは問題です。実際、小野寺防衛大臣と菅官房長官は都内に残られるわけですが、それは、やはり政務がいないと意思決定ができない論点があることの証左であって、各省でも程度の差こそあれ似たような問題は発生するのです。

じゃあやっぱりやべーんじゃねーのか、ということになってしまいますが、ご安心ください、霞ヶ関には大量の兵隊=官僚が毎日粛々と仕事をしております。今回は、あまり知られていない(=そして多分あまりニーズが無い笑)、「選挙期間中の官僚」についてお話ししてみようと思います。

 

 

1. 仕事は淡々とある(むしろ増える)

 まず、仕事が無くなることはありません。

 選挙の有無に関わらず、来年度予算の編成はありますし(補正については後述)、税制改正もやらないといけません。選挙、特別国会、そしてその後の組閣等、大きなイベントはあるものの、基本的なスケジュールは変わりません。そして、各省の事務的な折衝(交渉)は政治家先生抜きでも進められるわけですし、むしろ進めておかないと怒られます。「お前らこの数ヶ月間何してたんだ」とか怒られるのは我々です。

 ただ、選挙の結果如何で、目指す政策の方向が大きく変わることはありえます。政策というのは最終的には予算に落とし込まれる部分が多数ですから、政権の意向が強い予算については詰めづらい状況も発生します。

 そうすると何をするかというと、場合によっては数パターンの議論を並行して進めるということをしないといけなくなるんですね。ある程度こちらで頭の体操をしておかないと、間に合わなくなっちゃうんですね。

 さらに、選挙はあくまで日本国内のイベントなので、世界は変わらず進んでいきます。国際会議の類は全く待ってくれませんし、例えばトランプ大統領は予定通り11月上旬にはやってこられるわけです。ミサイルもまた飛んでくるかもしれないわけです。そうすると国際関係の仕事をしている省庁・部局は淡々と仕事するしかないわけですね。

  それから、霞ヶ関では比較的少ないといえば少ないのですが、窓口仕事は淡々と続けないといけないわけでして、いずれにしましても我々官僚は意外と淡々とお仕事をさせて頂いております。

 

2. レク、主意書が無くなる(減る)

 

 がしかし、仕事が減る側面も無くはないわけでして、政治家先生が地元に帰られるわけですから、我々はお相手をして頂けなくなります。

 例えば、個別の政策について、議員会館に急にお呼ばれしてご説明させていただく機会は無くなりますし、質問主意書といって、国会議員が内閣に対して質問できる文書にお答えさせて頂く機会も減ります。参議院は選挙がないので、参議院議員の先生方からお呼ばれしたりご質問をいただくことはありますが、2つある院が1つになるので、やはり回数は激減します。

 これに携わっている職員は、多少仕事の負担が減るということはあると思います。きっと、ホッとしてるでしょう笑

 

3. 経済対策のタマ込め

 

 1.で当初予算の話をしましたが、それとは別に、補正予算の準備をしなければいけません。

 選挙が終わると、政権与党は自分たちの政策を実現するために、次年度の当初予算を待たずして補正予算を組みます。

 前回の総選挙は2014年12月14日に投開票でしたが、その直後の2014年12月27日に「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」が策定され、年明け直後の2015年1月9

日に平成26年補正予算案が閣議決定されています。

 つまり、

 選挙で勝つ

 ↓

 (国民のOKをもらった)公約を実行するために、新内閣として具体的なプラン(=経済対策)を作る

 ↓

 その経済対策を実行するために、金の手当てをする(=補正予算

 という一連の流れがセットなのです。これ、もしかするとあまり知られていないかもしれません。

 経済対策というのは、つまり補正予算のことです

 そして当然、新政権はできるだけ早く経済対策&補正予算を打ちたいと考えているので、選挙後は「早く予算を組め!」ということになるわけです。当然、ゼロから初めて短期間にできるようなものではありませんので、あらかじめ色々なものを準備しておかないといけないんですね。なので、その準備をするために、場合によっては、現在野党である政党の政策も勉強することになります。

 ありとあらゆるパターンに対応できるようにしておくのが我々官僚の任務なのです。(そのせいで非効率っちゃ非効率なんですけどね)

 

4. テレビを見ちゃう

 

 選挙の行方は今後の自分たちの仕事に大きな影響を与えるので、どうしても気になります。

 我々の職場は、部署にもよりますが、テレビがつけっぱなしになっていることが結構多いです。サボってるわけじゃないんで怒らないでください汗

 基本的にはNHKがついていることが多いです。特に、災害関係の情報は、実はテレビの速報が第一報になることが多いです。もろ災害担当の仕事をしている部署でない限りは、特に役所特別のホットラインみたいなものがあるわけではないんです。

 なので、テレビがついているのですが、この期間はどうしても選挙がらみのニュースが多いので、ついつい見てしまいますね。

 

 というわけで、足元では、議員先生とのface to faceのお仕事が減るのですが、そのあとが忙しくなることが目に見えているので、そのための準備はむしろ増えるというのが、私の感触です。

 もちろん、部署によるんですけどね。

 いずれにしましても、政治空白が生まれたせいで国がおかしくなったなんてことの無いように、今日も頑張ろうと思います。

  

<おことわり>

 このブログは私が所属する組織の見解を示すものではなく、あくまで個人の見解に基づくものであります。

 また正確性を一義的な目的とはしていないため、事実であるかどうかの裏づけを得ていない情報に基づく発信や不確かな内容の発信が含まれる可能性があります。

(参考:総務省 『国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たって』 H25.6.28)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000235662.pdf