若手キャリア官僚は今こんなことを考えています

※このブログは私が所属する組織の見解を示すものではなく、あくまで個人の見解に基づくものであります。また正確性を一義的な目的とはしていないため、事実であるかどうかの裏づけを得ていない情報に基づく発信や不確かな内容の発信が含まれる可能性があります。

死ぬまでわからないかもしれない 〜官僚の残業・勤務量〜

headlines.yahoo.co.jp

 

痛ましい事件がお隣の国であったようでして。

公務員仲間として他人事とは思えないのです。

霞ヶ関の勤務状況を見ていると、いつ日本で似たような事案が起こってもおかしくないんじゃないかなと思ってます。

でも一方で、公務員って暇そうだし人減らせ!みたいなことがよく言われてますよね。なんなんでしょうかねこれ。

 

1. どのぐらい仕事してるのか

これは、部署にもよりますし時期にもよって違うのでなんとも言えないのですが、やはり国会会期中(つまり今)は残業時間が伸びる傾向にあると思います。

私の感覚であえてものすごくざっくり言うと、今の時期に残業時間が

 

〜100時間 へー、結構暇な部署なんだね、羨ましい

〜200時間 特にコメントなし

〜300時間 おたくも大変ですなぁ

300時間突破 体には気をつけろよ

 

こんな感じです。自分含めこう言う人種に労働行政とかやらせちゃいけないと思いますよ汗 残業時間100時間ですって言われても特に何も思わないんです。自分たちがひどい環境なんで

 

もちろん、少しずつ改善はしていて、例えば昔なら、国会の質問が全て出揃うまで関係部署の人間は帰っちゃダメ(=残業)ということになってましたが、最近は、「連絡してすぐ役所に戻ってこられるところにいてくれれば、外にいてもいいよ」というパターンもあります。でもそれって気が抜けないんで、微妙なんですけどね。

 

2. 残業代でウハウハ? 幻想です

 でも残業代もらってるんでしょ? と言われるのですが、これはまた難しい問題です。我々の給料は「予算」でがっつり枠が決まっているので、その人がどれだけ残業したかではなく、周りに比べてどれだけ残業したか、で決まってきます。相対的なものなんです。なので、今のような国会期間中は、全部局の残業がすごいことになっているので、大してもらえなかったりするんですよね。

 逆にいうと、その役所の中、あるいは局の中で、周りとは忙しい時期が違う部署は残業代を稼ぐという意味では効率が良かったりするわけです。変な話ですよね。

 

3. お前らはそんなに遅くまで何をやっているのか

 残業代が大変なのはわかったけど、お前らはそんなに遅くまでグダグダ何やってんだ、と。その質問は極めて真っ当だと思います。例えば、市役所や役場に行くと窓口の向こうにオフィスが見えますし、何となく雰囲気がわかるものですよね。それでも財政部や総務部は見えづらいですが。

 霞ヶ関の仕事も多種多様なので、全部触れているとキリがないため、国会作業について触れようと思います。別途、国会作業って何?みたいな記事を書きたいなとは思っているので、詳しくは別の機会にして、今回はさらりと触れるだけにしようと思います。

 国のルール=法律について議論するのが国会

というのは高校生で習う基本的なことです。霞ヶ関(行政)は関係ないじゃないか、行政はあくまで成立した法律を執行する機関でしょ?と思った方はちゃんと勉強されている方だと思います。しかし実際のところ、多くの法律は行政府すなわち内閣が提出しています。これを「閣法」と言います。この「閣法」をせっせと書いているのが我々霞ヶ関に住まう官僚と呼ばれる人たちです。法案を提出して国会で議論していただくのですが、法案について質問された場合に、回答しないといけないのはその法案を所管する大臣及び副大臣政務官です(具体的な数字や法令等、細かい質問については、政務三役ではなく我々事務方の幹部、例えば局長級が答えさせていただくこともあります)。そして、その答えを準備しないといけないのが霞ヶ関の人たちなのです。 

 しかし、闇が深いのは、国会で議論になるのはその時に提出している法案に限らない、ということです。例えば、今国会で連日議論されている、財務省の国有地払い下げ問題や文部科学省天下り問題がありますが、別に国有財産に関する法案や行政改革に関する法案を提出したわけではありませんね(出すことになるかもしれませんが)。国会(委員会という方が適切ですが、その辺の話は追って)は、提出法案に限らず、政府の国家運営全般を問い質す場になっているので、何を聞かれてもおかしくないのです。特に「予算委員会」というものがブラックホールで、国の運営は最終的には予算案に全て落とし込まれるので、その国の運営を問い質すという観点から、予算委員会では何を聞いてもオッケーです

 

 このように、法案関係を含む行政全般について聞かれるのが国会という場です。そして、実際に何が聞かれるのかは前日にならないとわからない、運が悪ければ前夜、というのが、悲惨な勤務環境を生み出している理由の一つです。

 

 そして、国会で回答した内容は、そのまま政府の公式見解になってしまうというのが恐ろしいところで、入って3〜4年目の若手係長(キャリアのパターンです)が深夜に半分寝たような状態で書いた内容も、翌日に大臣がそのまま読めばそれが政府の公式見解になるのです。もちろんそんな危ない状態にならないように、複数人でダブルチェックをかけて時には偉い人が朝まで残って確認して、、、とやっているわけです。気づいたら夜が明けています。

 

 さらに恐ろしいのは、頑張って作った答弁を大臣にご説明しないといけないのですね。国会は朝から始まるので(9時スタートが多いです)、その前にご説明となると、睡眠時間は2〜3時間とか、下手すると作業している間に大臣が登庁されてそのまんまご説明、なんてこともあります。よくみんな生きてるなぁと思いますよ笑

 

 極端な例を述べましたが、そんなにレアでもないと思います。

 一度死人が出ないと、変えようという動きにはならないかもしれません。

 

<おことわり>

 このブログは私が所属する組織の見解を示すものではなく、あくまで個人の見解に基づくものであります。

 また正確性を一義的な目的とはしていないため、事実であるかどうかの裏づけを得ていない情報に基づく発信や不確かな内容の発信が含まれる可能性があります。

(参考:総務省 『国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たって』 H25.6.28)