現役官僚が2chの国家総合職スレにお答えする<Part34その1>
人気企画の続きであります。
趣旨はこちらを
<官庁訪問ネタ> 2chの国家総合職スレPart32にマジレスする その1 - 若手キャリア官僚は今こんなことを考えています
今回はPart34ですねー
国家総合職スレ Part34 [無断転載禁止]©2ch.net
まぁよくある話ですね、内定者のアドバイス
それを言い出すと、現役職員のアドバイスも怪しいもんです。 もちろん仕事の話はめちゃくちゃできるんで、それを聞いて、職場を選ぶのに役立てるってのはあると思いますが、どうやったら内定取れるかってのは時の採用チーム次第なので、前年の経験はもちろん、数年前とか十数年前の経験を持ってる内定者とか職員の話もアテにならないもんです。
4月から勤務ってことは、これから人事院の研修っていう時期でしょうか。楽しんできてくださいませ。そこでより一層、各省のカラーの違いを痛感するわけです笑
あー、あと、自分が興味ある省庁以外の説明会も行っておくといいよってのは私もそう思います。掘り出し物(実はここ面白いじゃん)があるかもしれませんし、あとは、複数の省庁が絡む政策は少なくないので、いろんな観点から自分の興味分野を眺めるのは悪いことではないです。
26受験番号7742017/03/02(木) 21:46:45.30id:LOxrpNMx
今のシステムが「間違っているか」は何ともいえませんが、常日頃から思ってるのは、もっと試験を簡単にして欲しいなぁと。官僚になるのも面白そうだけど試験が大変だからやめとく、っていう人が少なくない気がするんですよ。普通の民間の就活やりながら公務員試験の勉強するのってかなり厳しいですからね。ついでに経産省受けてみよーとか、製薬会社と厚労省受けてみよーとか、そういうのがもっと気軽にできるようになればもっと良い人材が採れる気がするんですが。
ただ、下記記事で言及した通り、
<官庁訪問ネタ> 2chの国家総合職スレPart32にマジレスする その2 - 若手キャリア官僚は今こんなことを考えています
1000人とか訪問されても面接官が物理的に足らないので、民間の就活のように、SPI的なものを導入するとか、学歴フィルターを炸裂させるとか、そういう処置を取らざるを得なくなると思います。
ということになっちゃうとは思います。
とりあえず、今の、一年に一回しかない試験をやめて、SPIみたいなのにすればいいと思うんですけどね。試験の回数が少ないって、それだけで足枷ですよね。
ベンチャー企業を選ぶとかならともかく、短期の浮き沈みで省庁を選ぶのはやめといたほうがいいです。特定の省庁が特定の年に炎上するなんてよくある話ですので。
一方で、「中長期的にみてこの省庁は面白い仕事が無くなっていきそうだからやめとこう」というのはちゃんと考えたほうがいいと思います。
お気持ちはよーくわかります。こんな割りに合わないクソゲーに挑もうとしてくれている志望者の方々を心から応援したいです。
一方で、筆記&通り一遍の人事院面接で合格者=採用数まで絞ってしまうと、官庁訪問の段階でマッチングがうまくいかないというか、いくつかの省庁は明らかにフィットしていない試験合格者を採用しないといけなくなるという事態が容易に想定でき、それは合格者にとっても省庁にとっても、ひいては国のためにもよろしくないと思っています。
なので私は、「一次二次通るのにも相当な時間と労力が必要」の部分を改善することでこの問題を解決するべきだと思っていますので、「試験をもっと簡単にしようぜ」と考えているのです。
39受験番号7742017/03/03(金) 11:17:17.92id:Qzwnq5jd
盛り上がってるようですので、コメントさせてくださいな。
要するに我々がクリアしなければならない条件は、
1. 最低限の知識(法律・経済)は身につけておいて欲しい
2. 一方で、採用活動である以上ペーパーテストのみの選考は無理
3. 各省庁ごとに必要な能力(キャラとかそういうソフト面含む)が異なる
4. 実務上、面接にくる人間をある程度絞る必要がある。
以上だと考えています。これを現状どのようにクリアしているかというと、
1: 公務員試験の実施
2: 面接試験の実施&官庁訪問
3: 官庁訪問の実施
4: 公務員試験の実施
こうなっています。この結果、「難しい試験に合格したのに内定をもらえない」という不満が発生してしまっています。
この解決方法としては
A. 試験合格者を絞る(究極的には内定者と同数まで絞る)
B. むしろ試験を超簡単にする(究極的には試験を撤廃する)
の二つの方向性があるわけです。
さてここで、ちょっと視点を移しまして、そもそも民間企業はどのように先ほどの4条件をクリアしているのでしょうか。民間企業だって抱えている問題は大差ないはずですよ。
1: SPI等の実施&学歴フィルター
2: 面接の実施&リクルーター制度
3: (自明ですが)各社ごとの採用活動
4: 学歴フィルター等の発動(省庁と違って多いところだと応募者2万人)
こうなっているわけです。
まず大前提として、民間企業の方がコスト意識が高いので、より効率化されています。採用って結構お金がかかるので、できるだけコストを減らそうとするインセンティブがあります。だから例えば「我が社独自の筆記試験」なんてほとんどの会社はやってないのです。試験作るのってかなり手間かかりますからね。
で、私はどうすりゃいいと思っているかですが、
1. 最低限の知識(法律・経済)は身につけておいて欲しい
については、SPI等の試験と、法学検定やら経済学検定等の既存の試験を併用して、「それらの試験で○点以上取ってきて」とかいうシステムにしてしまえばいいと思ってます。まず安上がりですし、頻度も多いので多少ハードルが下がると思います。
2. 一方で、採用活動である以上ペーパーテストのみの選考は無理
についてですが、少なくとも官庁訪問のシステム、すなわち各省で採用面接をするというのは堅持しないといけないと思っています。
加えて、2chでも議論されてましたが、人事院の面接は「本当に全くコミュニケーション取れない人」を落とす機能を持っていて、これを一括して行うことはある程度意味があります。これがないと、各省庁でそれぞれ彼らを落とすために時間を割かないといけないので、無駄です。
3. 各省庁ごとに必要な能力(キャラとかそういうソフト面含む)が異なる
については、前述した通り官庁訪問のシステムを維持するしかないですね。
4. 実務上、面接にくる人間をある程度絞る必要がある。
実はこれが一番の問題です。官庁訪問では夜遅くまで残される、とかいう噂を耳にすることが多いと思いますが、これは要するに、人がたくさん来て面接が間に合っていないのです。もちろん選考の段階によっては、学生が他のところに行かないよう拘束する、という側面もあると思いますが。
書類選考すりゃいいじゃないかという意見もありますが、それは「試験を実施する」のと構造上は変わらないですよね。時間とコストを割いて、選別をしようっていうのは同じですから。よって、面接に至る人数を絞るためには、
ア)何かしら客観的な選別(例:人事院による試験)によりある程度の倍率まで絞る
イ)学歴を含む志望者のプロフィールで選別してしまう
の二つの方向性があるわけです。
しかし、営業の自由がある民間企業と違って(東大生しか採りませんとかいう企業があっても全く問題ない)、国がそうやるわけには行かないので、ア)しかないです。
これらを勘案して、私が考える改善案は、
●既存の一次試験を、SPI等の試験に置き換える
[利点]一発勝負の試験をやめて受験者の負担軽減&コストカット
●既存の二次試験も、法学検定等の試験に置き換える
[利点]前項に同じ。
[コメント]公務員試験を他の試験の腕試しとして受ける人がいるぐらいなんで、似たような内容の試験ってことですから、むしろそっちを使ってやればいいんですよ。
●人事院は、教養論文&面接を実施
[利点]倍率のコントロールを行う(=試験を全部SPI等に置き換えると倍率がコントロールできなくなって、志望者が殺到する恐れ)
●合格者を増やす
[利点]より有為な人材を集めることができる
[欠点]合格したのに内定取れない人が増える。ただし、試験の易化&合格者増により試験の負担を軽減している。試験前の負担を減らし、試験後の負担を増やす。
[コメント] 訪問者があまりに増えるとパンクしますが、まだまだ耐えられます。10倍になったら死にますが、3倍ぐらいなら何とかなりそうだし、そこは各省工夫してくれよっていうことでいいと思います。訪問者増やすために各省必死で採用活動してるわけですし、そこは各省に丸投げしても多分大丈夫です。
こんな感じです。
55受験番号7742017/03/03(金) 18:43:55.85id:iJtd6LyK
うちだったらすみません。
まぁ大した役所じゃないんじゃないですかね。
入ってから鬱になるよりは今の段階でそのような疑問と向き合うことができてよかったんじゃないでしょうか。
役所のやってることが国民のためになってるのか?というのは、これは我々現役の役人が常に向き合わないといけない問題です。そして、ちょっとクサい感じにはなりますが、利益がどうのという話を抜きにして「国民のためになる政策とはなんなのか」を真剣に議論する機会がここにはあると思います。逆にそれ抜きにしたら議論できなくなりますからね。民間企業から出向して来ていた同僚の方が親元に戻られる際、ここまで国益というのを意識して仕事したことはなかったからいい経験でした、と言ってくださっていたのがとても印象的でした、お世辞かもしれませんが、実際そういう側面はあると思います。
ただ大事なのは「いや、国って何よ」とか「国民って何よ」ということです。それぞれが定義する国やら国民が異なるので、政治vs行政とか、財務省vs経産省とかいうバトルが発生したり、民間企業にしようか官僚にしようかという悩みが発生するんですね。国益というものが簡単に定義できないから、国は迷うし人は悩むのです。
農家を守るのは大事です。農家は国民です。一方で、消費者に安い農作物を提供するために関税障壁を撤廃してガンガン輸入するのも必要かもしれません。消費者も国民です。
この混沌とした世界の中で、自分はどんなポジションを取って生きるのが一番居心地いいですか?=鬱にならないですか?ということです。
「国のために働きたい」から一歩進めて「この国が抱えるこういう問題のために働きたい」を突き詰めると少し先が見えるかもしれません。
76受験番号7742017/03/04(土) 07:25:59.33ID:+xp0uBAX
ものすごくよくわかります。似たような名前をよく見ますしね。偏ってんなぁと。
ただ、ああいう会議の類の人選作業に関わった経験から何点かコメントさせていただくと、まず、「大手のトップ以外」の人選をするには、かなり恣意的なピックアップが必要になります。大手のトップ、例えば経団連の会長さんというのは、説明しやすいんです。経団連の会長ですよ、と。そうではない、中小企業の社長さんを呼んでこようとすると、なんでこの人なの? 面白そうだからです。 理由になってないよね? ということになるわけです。次善の策として、業界団体というのはどこにでもあるので、例えば全国中小企業団体中央会とかそういったところから呼んでくることもできますし、そういうケースはいくつかあると思います。
あとはやはり彼らは政治力があるので、ちゃんと彼らの意見を聞いておかないと後々ひっくり返されるリスクがあるので、そのリスク管理という意味合いも強いですね。
何をもって「幅広い」というかだと思います。
我々はサウジアラビアに乗り込んで石油を買い付けてくることはできませんが、石油備蓄法や石油業法を書き換えて業界構造を変革することができるかもしれません。「買い付けはできない」と言いましたが、現在の情勢下においては原油の権益確保という観点では国が相当程度のプレゼンスを発揮する局面もあるでしょう。
190受験番号7742017/03/11(土) 09:13:14.93ID:3+tI5Qej
そうなんだよね・・・。まぁなんだかんだで給与は大事なファクターの一つだと思いますよ。全てとは言いませんが。そりゃ金はもらえたほうがいいに決まってる。悩んだら給与で決めるのも手です。
そしてできれば、その旨を採用担当に言いまくってください。そのことが遠回りでも我々の給与上昇圧力に繋がるはず・・・笑
いやでも本気で、省庁もちゃんと人材市場の競争に晒されるべきだと思ってます。頭の体操ですが、現役の官僚の半分が「高収入を目指して転職します」とか言って辞めていったらみんな焦るんじゃないですかね。やっぱりそういう外圧がないとなかなか変わらないですよね。
持論を展開せずして何を展開するのです。
「こういうことがやりてーんだ」という志望動機は持論以外の何物でもない。面接って試験じゃないんで、相手を論破すれば勝ちとか合格とか、そういうのじゃないんですよ。
A こういう問題があるからこうしたいと思ってる。
B すでにこういう政策を打った
A へー、知らなかったです、教えてください。
A こういう問題があるからこうしたいと思ってる。
B よくわかるけど、現実にはこういう課題があってうまくいかないんだよね
A へー、知らなかったです、こうするわけにはいかないんですかね
ちゃんとコミュニケーション成り立ってますね。
212受験番号7742017/03/12(日) 12:10:32.84id:yHYdxvWm
立派な先生、少なくないですよ。これはブログ用のコメントではなくて本当に。
よくもまぁあんな大変な仕事をされてるなぁとつくづく思います。
まぁたまに困った人もいますけど。
というかですよ、どんな会社に入ろうと「ゴミ屑(みたいなクライアント)にペコペコする」ことを強いられるリスクはあるのですよ。ゴミ屑みたいな上司だったり。ペコペコしながら物事を進めていくのもある種の能力です。
大事なのは、ペコペコしなくてもいい環境に身を置くことではなくて、ペコペコしてでも実現したい目的がある環境に身を置くことです。
217受験番号7742017/03/12(日) 21:24:53.55ID:Y+vzlPcu
雰囲気重要です。
なんかたくさん書いて疲れてきたけど、雰囲気重要です。
「雰囲気よりも中身を見て欲しい」という発想は、外面はダメだけど知識はたくさん蓄えてるしその部分で貢献できる、という考えからくるわけです。
しかし、いろんな本が出てますけれども、外面・雰囲気次第で、その人の発言の説得力が変わってきたりします、これは事実です。
わかりやすい例でいきましょう。忙しい政治家先生、あるいは次官や局長等の幹部に政策を説明できる時間は、やばい時は1分とか30秒とか、あるいは大臣がエレベーター降りて車に乗るまでの間とか、そんなもんだったりするわけです。知識をたくさん蓄えていようが、なんか頼りなさそうな雰囲気を身体中に身にまとっていたら、聞いてる側も不安になるし、「ごめん、また今度」ってなります。「また今度は」は失敗を意味します。
これは極端な例ですが、要するに、官僚は学者じゃないんです。賛否両論あると思いますが、私はそう思います。理論だけで行政が回るならマジで官僚は全員解雇して学者さんを雇ったほうがいいです。でもそれができないのは、政治家先生や業界団体や全く正反対のことをいっている学者先生たちの意見やらを聞いて時にはいろんなところにヘコヘコしながら調整を重ねて、少しでも国を前に進める、というのはある種の特殊技能だからです。そこには当然、人を説得する、納得させる、話を聞いてもらう、というプロセスがあって、雰囲気みたいなものも大事になってくるんですね。
まぁ極論を述べたわけでして、実際自分も含めて我々がそういうことをうまくできてるかというのは別問題ですし、面接の段階でそこまで要求するわけでもないんですが、要するに雰囲気は重要です。
留学から帰ってきて転職、はまだギリわかりますが、起業と官僚はあんまりシナジーないかもしれませんね。省庁によりますけど。やっぱりビジネスをしているほうが、まだ満たされていないニーズを発掘する機会が多いと思います。コネだけじゃ起業できないですからね、大事ですけど。
マツコが何を言っていたのかわからないんですけど、まぁ確かに、26か27ぐらいで店出せる官僚はいないでしょうね。26か27ぐらいで法律かけるキャバ嬢もなかなかいないと思いますが。
敷かれたレールに乗っかっていればとりあえず26か27ぐらいで法律は書けるようになりますが、26か27ぐらいで店を出すためのレールはなかなか無くて自分で切り開かないといけなので、そういう意味では確かに店出すほうがすごそうな気がします。
あ、それは全然違う。
良く言えば、我々官僚を聖職として捉えすぎてくれているんだと思う。世の中を良くしたいと思う人はいろんなところにいるし、政策だって彼らのサポートに支えられている。これは就職してからわかったこと。
例えば、法律一本通すにしても、行政だけでは当然できないし、立法と行政だけでも無理です。民間企業の人に話を聞きにいってみたり、あるいはそもそも民間企業から提案を受けることも多々ある。この条文をこう変えてくれればもっとこういう良いことができるんですけどみたいな。
国家公務員はある種我々だけの特殊な権力を持ってしまっているので、そういう意味では相応の覚悟は必要だと思いますが、それは他の仕事と比べて優劣があるようなもんではないと思います。
視点を変えると、あいつら公務員の覚悟は甘い、仕事ミスってもクビにならないし、そんな公務員を志望する奴らが万一同じ職場に来たら嫌だわぁ、ってことになるかもしれない。
422のおっしゃる通りで、昇進・選抜のコストを抑えるための方策の一つが入り口での選別、すなわち総合職と一般職とのミシン目なのです。業務の停滞もありますし、そもそもコンスタントに試験を作ってそれを実施するコストもやばそうです。
というか未だに疑問なのですが、同期が数百人いる企業って、どうやって幹部を選抜してるんでしょう・・・
いずれにせよ、いろんな制度にはメリデメがあるわけです。
なんか今回は疲れた・・・
スレの内容が濃かったのかな
ではまた次回
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(参考:総務省 『国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たって』 H25.6.28)