現役官僚おおくぼやまとの日記

※このブログは私が所属する組織の見解を示すものではなく、あくまで個人の見解に基づくものであります。また正確性を一義的な目的とはしていないため、事実であるかどうかの裏づけを得ていない情報に基づく発信や不確かな内容の発信が含まれる可能性があります。

プレミアムフライデーと官僚

一部の人にとっては面白いニュースがありました。

headlines.yahoo.co.jp

 

午後3時には仕事を終えて早く帰ろう!(そしてお金を使おう!)という「プレミアムフライデー」実施の初日と予算案の採決の日がバッティングした、ということで、予算を後ろ倒しにしようという話です。

 

プレミアムフライデーそのものに対する評価云々は長くなるし自分も確たる意見をまとめきれていないので割愛するとして、

 

霞ヶ関で働く人間として記しておきたいと思うのは

「是非とも中身を伴った取り組みにしてくれよ」「竜頭蛇尾的な、最初だけ威勢がよくてあとは尻すぼみという事にならないように頼む」

ということです。

※この文章はあくまであまり知られていない霞ヶ関の実態をお伝えしたいと思って書いているのであって、ゴチャゴチャ言ってないで働けよ、というご指摘は全面的に受け入れたいと思います。

  

「中身を伴った取り組み」

予算案ともなるとほぼ折り合いはついていると思われるので(いや、財務省の幹部の方はギリギリまで東奔西走するのだろうか……)あまり差はないのだと思いますが、

例えば金曜日に何かの委員会(大事な議論をする国会の会議のことです)が予定されていたものの、午後3時までには終わらなそうだから月曜日にしましょう、ということが木曜日の夕方に決まったとします。

色々なところで書かれているand言われているので知っている人も多いと思いますが、国会で行われている議論に先立ち、霞ヶ関で仕事をしている国家公務員(以下、官僚とします。)が膨大な準備をしています。この準備については、もし機会があればまた詳しく書きます。

この準備は、政府に対して質問をする国会議員の先生から質問を貰い受けるところからスタートします。仮にプレミアムフライデーのために委員会が月曜日になっても、その質問が金曜の昼に提出されたのでは、結局官僚はフライデーなのに帰れないのです。ひどい時には金曜の夜に質問が提出されたりして、週末が潰れることもあります。

採決!とか委員会!とか、外から見えやすい部分を月曜に回すだけでなく、それにかかる様々な手続き・作業を考慮して日程を動かさないと、霞ヶ関に限ってはあまり意味はないです。

政治家先生はどのみち金曜夜に地元に帰られるのであまり変わりはありませんが、霞ヶ関の官僚は悪の化身と思われることも多いですが実態はただの飲み会好きなサラリーマンなので、金曜の早い時間に開放してあげれば、虎ノ門や新橋あたりの経済はかなり潤うはずです。

 

竜頭蛇尾的な、最初だけ威勢がよくてあとは尻すぼみという事にならないように頼む」

2015年夏から、「ゆう活」と称して、 出勤時間を1時間早めて定時も1時間早める、残業はせずに帰る、という取り組みが始まりましたが、

結局国会業務は減らないから朝一時間早く来ないと行けなくなっただけ、

という寒い結果に終わったという話はさておき、

こういう取り組みって、初日は人事課長が見回りに来て、早く帰れ〜とか言ってみんな本当に追い出されるのですが、そのうち適当になっていっちゃうんですよね。もちろんスタートが肝心なのは間違いないのでそれはいいんですが、やるなら是非とも継続的にやってほしいものです。

予算案の日程は政治にもかなり影響を与えます。日本の予算は4月1日からスタートするので、3月までに次の年度の予算が成立しなければ、本当に必要な最低限の経費だけ使えるようにする「暫定予算」を別途作成しなければならず、政府にとっては非常に面倒です。その予算の審議を後ろ倒しにするというのはなかなか大きな決断なので、知っている人にとっては政府の気合の入れ方がよくわかるのですが、それだけに、最初だけで終わらなんよな?と思ってしまうのですよ・・・・・・

 

 

 

国家急務の際にはプレミアムフライデーなんて言ってられんでしょうし、そのあたりのバランスは難しいですね。ただ、国が率先して取り組んでいくということ自体は、後ろ指さされるとは思いますが、個人的には良いことだと思っています。特にお上意識の強い日本の場合は効果的なのかもしれません。クールビズなんかうまくいきましたし。

 

 

<おことわり>

 このブログは私が所属する組織の見解を示すものではなく、あくまで個人の見解に基づくものであります。

 また正確性を一義的な目的とはしていないため、事実であるかどうかの裏づけを得ていない情報に基づく発信や不確かな内容の発信が含まれる可能性があります。

(参考:総務省 『国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たって』 H25.6.28)