【2000万問題を考えるにあたって1】現役が語る審議会の作り方
ブログをサボり続けて早半年が経ってしまいましたが、久しぶりに書きたいテーマができたのでね。書きたいことを書いていくスタンス。今年も宜しくお願いします。
前々から扱ってみたかったんですよね、審議会。ちょうど良い。
無責任に、シリーズっぽくしてみました。続くかは保証できません。
1. 審議会ってなんだ
最近ニュースでガンガン取り上げられている「審議会」。
なんかの会議なんだろうなぁ、ぐらいのイメージはあるものの、実際、どんな組織なのかよくわからない人、多いんじゃないでしょうか。
審議会というのは、ざっくりいうと、
「役人だけだと知識が偏ったり足らなかったりするので、専門家にお集まりいただいて、政策課題について議論してもらう会議」
です。
2. 審議会の法的な根拠(めんどくさい人は読み飛ばしてよし)
法律的には、まず国家行政組織法という法律に一般的な規定がありまして
(>初めましての方へ
このブログは役人が書いていることもあり、法律が時々出てきますが、最近の法律は(昔と違って)口語で書かれてるので、正しいところを読めばわかりやすく書いてあります。法律の難しいところは「どこを読んだらいいかわからない」ところです。適切なガイドがあれば法律なんて誰にでも読めるんですよ。引き続き宜しくどうぞ)
第八条 第三条の国の行政機関には、法律の定める所掌事務の範囲内で、法律又は政令の定めるところにより、重要事項に関する調査審議、不服審査その他学識経験を有する者等の合議により処理することが適当な事務をつかさどらせるための合議制の機関を置くことができる。
ということで、要は、知識が豊富な人たちに調査してもらうために、役所は会議を設置することができる、みたいなことが書いてあります。
これはあくまで審議会というものを置くことができるよ、というルールです。
ちょっと法律慣れしている人なら「法律又は政令の定めるところにより」というところを目ざとく見つけたかと思いますが、具体的な審議会を置くためには別途法律でそのことを決めないといけません。役人が勝手に審議会を大量に作り始めたら困りますよね? なので、そこは立法府による縛りがかかるわけですね。
実際、下記のような形で、色々な役所に審議会が置かれています。
第八条 本省に、地方財政審議会を置く。
第六条 本省に、次の審議会等を置く。関税・外国為替等審議会
経済産業省設置法
第六条 本省に、次の審議会等を置く。消費経済審議会
法務省組織令
第六十条 法律の規定により置かれる審議会等のほか、本省に、次の審議会等を置く。法制審議会
こんな感じ、それぞれの役所に審議会を置くということが定められてます。最近話題の金融審議会についての規定はこれですね。
第六条 金融庁に、次の審議会等を置く。金融審議会
ちなみに、政府全体で、審議会はこんなにあります(2年前の資料ですが)
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/170801_singikai.pdf
めっちゃありますね・・・
あと、なんとなくですが、審議会は略されることが多いです。
略すと業界人ぽくなれます。ならなくていいんですけど笑
3. 審議会の作り方(1) サブグループを作る
作り方って言ったって、もう法律で決まってるから、あるじゃん、と思われるかもしれませんが、もうちょっとお付き合いください。
先ほどご説明した通り、法律で審議会の設置が決まってはいるのですが、実際は、審議会で議論する論点や領域は多岐にわたるので、何かを議論するごとに毎回毎回その審議会を開催するのは不便なんですね。
具体例を挙げないとわかりづらいと思うので、厚生労働省を考えてみてください。
厚生労働省には社会保障審議会という審議会があるんですが、一口に社会保障と言ったって、年金もあるし介護もあるし生活保護もあるわけです。それぞれ専門家がいるわけで、これを同じ会議でやるのはなんだかうまくいかなそうですよね。
ですので、多くの場合、法律で定められた審議会の下に、「部会」とか「分科会」とか「専門委員会」とか、そういうサブグループを作って、それぞれの分野について議論していきます。
話題の金融審議会にもたくさんのサブグループがありますね。
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/base_gijiroku.html#bunkakai
騒ぎになっている報告書は、このうちの、「市場ワーキング・グループ」の報告書です。
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190603.html
ちなみに、「まだ総会に出されてないから正式な報告書ではない」という報道ぶりがありましたが、
これは、今回の報告書はあくまでサブグループが出した報告書であって、今後、「金融審議会」の本体に提出されて、審議会としての報告にするかどうか議論される、ということです。
疲れたんで、今日はこの辺にしときます(無理しない。眠い)。
なんとなく、審議会なるものの雰囲気がわかってきましたでしょうか。
シリーズ初回ですが、一つ言えるとすれば、審議会の運営は結構な労力かかってまして、しかも、ちょっと検索していただければわかりますが、審議会のHPには相当な情報が眠ってます。これが人知れず埋もれていくのは非常に勿体無いのです。
難しい言葉が並んでるかもしれませんが、興味のある社会問題があれば、新書とかを読むのもいいですが、まず該当するテーマを扱っている審議会のHPを眺めてみると、最新の論点も掴めますし、良いかもしれませんよ。
気力があれば、審議会の人選とか、審議会が抱える問題点とかを書いてみたり、今回話題の金融審議会の報告書を皆さんと一緒に読んでみたりしたいと思います。
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(参考:総務省 『国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たって』 H25.6.28)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000235662.pdf