現役官僚おおくぼやまとの日記

※このブログは私が所属する組織の見解を示すものではなく、あくまで個人の見解に基づくものであります。また正確性を一義的な目的とはしていないため、事実であるかどうかの裏づけを得ていない情報に基づく発信や不確かな内容の発信が含まれる可能性があります。

官庁訪問を振り返る (1)Q.政策の知識がないんです

もうだいぶ経ってしまいましたが、今年の官庁訪問が終わりました。(そして、またいつも通り質問箱の中の質問で採用の動きを知るのですが、一般職の官庁訪問が始まっているのですね)

 

忘れないうちに、と言っても少し忘れつつあるのですが、面接をやっていて思ったことを少し書き残しておきます。

 

なお、この企画の考え方としては、

まず

官庁訪問は省庁によってやり方が(かなり)違う

・私は、評価をつけるというよりは、業務の説明とか、相談相手になるという役割を負っていた部分が大きい

・更に言えば(特に私のところは)採用の判断は採用担当者に任される部分が大きく、しかも担当者はコロコロ変わる

というのがあるので、つまり

本記事で記載するのは、「官庁訪問をどう突破するかの裏情報教えます」などというものでは全くないという点、ご承知おきください。

 

一方で、面接させていただいた方にはその場で色々とフィードバックしたのですが、そのフィードバックは別に秘密にするものでもないので、そこをブログ化しようという発想です。

 

 

 

 

 

 

1. Q.政策の知識がないんです

 

 政策の知識がないんです、だからこの後の選考が不安です、という人が何名かいらっしゃいました。

 やっぱり「『政策の知識』がある人が内定もらえる」という幻想が流布しているようでして、それはどうなのかなと。そして二重鉤括弧つけましたが、そもそも『政策の知識』ってなんなのかなと。

 

2. 政策の知識とは何か

 

 じゃあ、あなたが考える『政策の知識』ってなんなんだろう。何が足らないと思ってるんですか?と聞いてみると、現行の政策とかあまり詳しくないんです、という答えが返ってくるのですが、それはあまりいらないのだよな。

 

 ちょうど、某JRに行った同期とこないだ会って似たような話をしたのですが、例えば電車の形式を示す「モハ」「クハ」「クモハ」の意味を知っているか、というのは採用には全く影響しないということなのですね。

 そうじゃなくて、人口が減少する中で旅客事業ってどうなっていくんだろうとか、駅ビルでこういうことやったらもっと良いサービスを顧客に提供できるんじゃないかとか、そういうディスカッションができる人を求めているのですね。

 

 この話と構造は全く一緒で、政策の中身がどうなってるのかというのは、入ってから死ぬほど一緒に考えてもらいますので、今の時点でそこをどの程度知っているのかというのは、採用にはほとんど関係ないと考えてもらって良いと思います。

 

 一方で、聞かれたら思う存分お話ししてますが、それは「採用を突破するための情報としてお教えする」のではなくて「職場を選ぶ上での判断材料にしてほしい」という意味でお話ししてます。

 それで、へー役所の仕事ってつまんなそうですね、となればそれは人生の選択における大事な情報ですし、そういう意味で聞くのは意味あると思います。

 

3. 世間を知るべし

 

 じゃあ何の知識がいるのさ、ということになると思いますが、私は

 「世の中は何を(どんな政策を)求めているのかを知るために、世の中のことを知るのは大事だと思うよ」

 「一度しかない人生で自分という身を世の中のどこに置くのかを考える上で、世の中のことを知るのは大事だと思うよ」

 と答えていました。

 前者については、世の中について広く知った上で自分が強く問題意識を感じるのは何かを特定していくことで、こういう政策が必要だぞ、そのためにはこの役所でこういうことをしたいぞ、というふうに落としこんでいけますし、

 より広く捉えるなら後者的な視点が必要で、時代のうねりみたいなものがある中で、自分の身をどこに置くのが良いかを真剣に考えないと後で後悔しますよ、ということだと思うのですね。

 

 

4. 今何ができるか

 

  で、官庁訪問中だと、内々定まで一週間かそこらしかありませんから、今から「世間を知ろうぜ」と言ってもなかなか限度がありますので、フィードバックとしては、「今は官庁訪問期間中だからどう内定を取ろうかというvs役所の視野になっちゃっていると思うけど、一度役所とか忘れて世の中全体について思索を広げた上で、何が今この世の中に足りてないのかを考えていって、もし時間があれば週末とか今日帰ってからでいいから、自分がやりたいことを実現するには何が必要なのかみたいなことを調べたら、自分をアピールする上で深みのある話ができるんじゃないかい?」みたいな感じになってましたが、

 もしこれから色々準備をされる方がいたら、そもそもいまこの国は(あるいは世界は)どうなっていてどういう問題が生じているんだろうな、ということについて勉強していって、その上で自分が興味を持てるものについて趣味的に調べていけば、それが結局は、自分のやりたいことを語る上で必要な材料に自然となっていきますし、そもそもこの世界の中でどう生きていくか(どういう仕事を選ぶか)を考える上でも役に立つんだと思います。

 

 

 

ちなみに、次回以降はこんな感じで続く予定です。

 

(2) Q.待合室が東大生ばかりで不安です

(3) Q.○○省の方が評価は高いが、第一志望はここなんです

(4) 自分の見せ方がわかっていない

 

 

以上です

 

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<おことわり>

 このブログは私が所属する組織の見解を示すものではなく、あくまで個人の見解に基づくものであります。

 また正確性を一義的な目的とはしていないため、事実であるかどうかの裏づけを得ていない情報に基づく発信や不確かな内容の発信が含まれる可能性があります。

(参考:総務省 『国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たって』 H25.6.28)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000235662.pdf