若手キャリア官僚は今こんなことを考えています

※このブログは私が所属する組織の見解を示すものではなく、あくまで個人の見解に基づくものであります。また正確性を一義的な目的とはしていないため、事実であるかどうかの裏づけを得ていない情報に基づく発信や不確かな内容の発信が含まれる可能性があります。

財務省調査報告書① 〜やっぱり動機がピンとこない〜

※本記事は予約投稿機能を使っているため、当人が残業している間に投稿されている可能性があります。

 

読みました。

www.mof.go.jp

 

簡単な感想を、取り止めはないのですが残しておきます。

それから、他にも何か書きたくなる気がするので、タイトルには①と振っておきましたが、これで終わる気もします。

 

なぜか画像化処理されており、ただの文書のはずなのに9269KBもあるというさすがの重厚感。また、そのためコピペができない。

幸い、ハフポストさんが全文をテキスト化されていたため、引用の際はこちらを使わせて頂きました。(OCRかなぁ。まさか全文打ったなんてことは…)

www.huffingtonpost.jp

 

 

 

 

感想①:やっぱり動機がピンとこない

 

 国会はもちろん、各種メディア及び有識者もひたすら述べているので私ごときが物申す必要はないのですが、公務員という立場の人間として、やはり「なぜこんなことやったのか」というのが非常に気になっていたため、結局よくわからなかったことについては不完全燃焼感があります。 

 

 もはや信じて頂けない方も多いであろう今日この頃ですが、私の感覚からすると、公務員は法・ルールを犯すことを非常に恐れます

 そもそも法令遵守義務があるので当たり前っちゃ当たり前なのですが、

 法律というのはかなり混みいっている上に、その下部規定である政令・省令に委任(法律で書くほどのことではない細かなことを、下部の規定で定めることです)されており、さらには規則とか通達とか色々な取り決めがあるもんですから、法を犯すつもりがなくても、禁止されているようなことをやってしまうというのは、油断すると起こりうるのですね。

 この禁止されていることというのは、人を殺すとか物を盗むとかそういう、誰が考えてもわかる悪事だけではなくて、誰のハンコが必要とか、○日間以内に処理しなければならない、とか、そういう手続き的なことも含まれます。

 

 罰則が無いものもあるのですが、これらのルールを犯すと手続きに瑕疵が生じるので、得になることこそ無けれど、後々揉めたり、自分のレピュテーションが下がったり、いずれにせよ、マイナスなことしか発生しません。

 

 ですから、公務員はルールを犯したくないんです。犯したくないというか、犯す理由がないのですね。仮に法を犯すことによって袖の下がもらえるとかそういうことがあれば理解できるのですが、もはやそんな時代でもないですし、

 逆に、ルールを杓子定規に守るからこそ「お役所仕事」とか言って揶揄されるのですよね。

 なので、呟いたこともあるのですが、

 

 

 

 「このやり方で、既存のルールに抵触しないよな?」

 

 と、上司からひたすら詰められることは何度もありましたが、それは、ルールを犯した処理であった時にその上司が責任取らないといけないから徹底的にこだわるわけであって、私の感覚からすると、違法行為を上司から指示されるというのはかなり特殊な状況です。

 今回の場合は、上述した「気がつかないうちにルールを逸脱していた」という「ミス」ではなく、どちらかといえば「誰の目にも明らかな悪事」なので、いよいよ、なぜそんなことが発生したのかわからなかったのです。 

 

感想② 総理レクはやってないのかぁ

 

 総理及び夫人の関与があったのか無かったのかは「関与」の定義の問題もあるので依然として色々な見方があるがそれはともかく、問い合わせやら何やらという「接触」は確実にあったわけで、

 総理レクをもっと早くやっておけば(あるいは、その必要性にもっと早く気付けていれば)、少なくとも「辞める」発言は無かったのではないだろうか。。。

 逆に言うと、その点の負い目があったというのは、一つの動機になりそうな気はしました。負い目というのはつまり「もっと早く説明に来なかった」ということ。もちろん、総理の日程はえらく立て込んでいて、申し込んでもなかなか時間が取れないのですが、基本的にレクが遅くなるのは「レクする側の責任」と見なされて怒られます。「そうは言っても時間くれなかったじゃないですか…」というのは通用しないのですね。

 秘書官には説明してたのかなぁ。まぁここまでくるともうわかりません。

 

 

(参考)以下、時系列でレクの推移を。

 

H29.2月初旬 局長レク

1 森友学園との間で売買契約を締結した後、森友学園案件について、豊中市議会議員等からの情報公開請求、国会議員からの資料要求、報道機関からの照会等の動きがあった。本省理財局の国有財産審理室は、森友学園案件について報道が出る可能性を意識して、平成29年2月初旬、理財局長に案件の概略を説明した。なお、当時の理財局長が森友学園案件について配下の職員から対面での説明を受けたのは、平成28年7月の着任以降、これが初めてであった。

 

(大筋に関係無いのでおそらく省略されたが、この間に普通であれば次官レクを行なっていると思われる)

 

H29.2.13 大臣レク

4 本省理財局は、森友学園案件が国会審議等でも取り上げられることになる可能性を意識して、平成29年2月13日(月)、財務大臣に対して、案件の経緯や、森友学園に対する国有地の売払いは不動産鑑定評価による更地価格から地下埋設物の撤去費用を差し引いた価格により行っていること等を説明した。

 

H29.2.17 衆・予算委

 総理発言

ただ、誤解を与えるような質問の構成なんですが、私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。

国会会議録検索システム

 

H29.2.22 官房長官レク

10 森友学園案件が国会審議で大きな議論となり、内閣官房長官の記者会見でも多数質問がなされる中で、平成29年2月22日(水)には、本省理財局と国土交通省本省航空局から内閣官房長官への説明が行われた。説明者側からは、森友学園案件の経緯のほか、取引価格の算定は適正に行われていることや、総理夫人付や政治家関係者からの照会に対して回答をしたことはあるが特段問題となるものではないこと等について説明した。

 

 

感想③ 応接録の取り扱い

 

 森友に限らず色々な問題で「応接録」が絶対視されている気がして、大丈夫かなぁと前々から思っていたのですが、本報告書にも記載されていました。

(*13)一般に、応接録については、作成するかどうか、実際のやりとりをどの程度詳細に記録するか、記録する際の表現ぶりをどうするかといった点は担当者の裁量に委ねられる面が大きいことや、相手方に対して、実際のやりとりが正確に反映されていることを逐一確認しているわけでもないことに、留意が必要と考えられる。

 

 審議会などの重めの会議体の議事録等は、専門の業者を使って文字起こしをしたり、発言者のレピュテーションにも関わるので出席者本人への確認をするなどして、厳密性がかなり高いものに仕上がるのですが、

 日常的な応接録は、ここに引用した注意書きにもある通り、裁量性がかなり強いものになっています。

 私も、様々なレベルでの応接録を作りますが、簡単なものだとそれこそ、他省のカウンターパートと電話で何か話をした時に、その内容をメールにして部下に送って「こんな話したよー」とか、そういうのもあります。あるいは、先方の発言を記録するというよりもむしろ自分の発言を記録・共有して、もしマズいことを言っていれば周りに指摘してもらい、すぐに先方に連絡し訂正して大事故になるのを防ぐみたいな目的で使ったりもします。

 ですから、私が「○○省の▲▲さんとこの方向で合意」とかいう応接録を作っても、▲▲さんは全くそんなこと思ってなかったりすることもあるので、その応接録は文書として意味があるかというと微妙だったりします。

 逆に、もし本当に、後に残す必要がある合意とか約束を取り付ける場合は、電話や面会での応接録ではなくて、お互いがオーソライズした(例えばお互いの組織としての印が押されてたり)文書にします。

 そこまでの話ではなくても、担当者レベルで約束しておきたいときは、お互いメールを交換してそのメールを保管しておいたりします。メールも公文書として保管すべき、というのはこういう事情があるからですね。

 

 何が言いたいかというと、

 応接録が決定的な物証みたいに扱われる今日この頃ですが、大丈夫かなぁって気がしてたりします。

 

感想④ 「事務方」

 

 「事務方」という言葉は日常でもよく使います。

 基本的には政治家(役所においては特に大臣・副大臣政務官)と対をなす言葉で、事務次官以下の公務員のことを指します。

 ただ、こういう報告書でも使われるような割とオフィシャルな言葉だったのですねー

 

1 国有財産行政は、国債管理や財政投融資等の行政分野とともに、財務省の本省理財局が所掌しており、事務方としての最終責任者は「理財局長」である。

 

1 当時の事務次官【減給10%・1月相当】

 一連の問題行為を全く認識していなかったが、事務方トップの事務次官として理財局長らを適切に指揮すべき立場にあり、監督責任を免れない。

 

それから、報告書内 (6)本省理財局職員・近畿財務局職員以外の責任の項で、直前に引用した通り、一連の問題行為を全く意識していなくても事務方トップの事務次官が処分されている一方で、

組織全体のトップである大臣やそれを補佐する副大臣政務官(確証はありませんが、それぞれ省内の事務を分担しているはずなので、理財局担当の政務は大臣以外にもいる気はします。)の責任はどう考えたらいいのだろうなというのがいまいちよくわかってません。

役所に政治家を複数配置する副大臣政務官というアイデアは私は良いと思うのですが、その権限と責任みたいなこともちゃんと整理したほうがいいのではないかなと。

 

 

 

とりあえず今回はこの辺にしときます。

 

 

 

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<おことわり>

 このブログは私が所属する組織の見解を示すものではなく、あくまで個人の見解に基づくものであります。

 また正確性を一義的な目的とはしていないため、事実であるかどうかの裏づけを得ていない情報に基づく発信や不確かな内容の発信が含まれる可能性があります。

(参考:総務省 『国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たって』 H25.6.28)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000235662.pdf