若手キャリア官僚は今こんなことを考えています

※このブログは私が所属する組織の見解を示すものではなく、あくまで個人の見解に基づくものであります。また正確性を一義的な目的とはしていないため、事実であるかどうかの裏づけを得ていない情報に基づく発信や不確かな内容の発信が含まれる可能性があります。

省庁の「サブ」と「ロジ」について

 

河野外務大臣が、外務省の業務改革についてツイートされておられました。

このうち、「二、ロジ業務の民間企業への委託」の「ロジ」って何だ、というリプが散見されましたので、これについて軽く書いてみたいと思います。

(最近重たい話が多いから、自分の脳内知識を吐き出すだけのネタはありがたい笑)

 

「サブ」と「ロジ」というのは、役人にとってとても馴染み深い言葉です。

 

1.サブ

 

サブスタンスの略です。

政策の中身のことですね。

 

○どんな法律を書くか

○どんな補助金制度を作るか

○どのような戦略で国を防衛するか

○国際交渉で何を主張するか

 

例示すればキリがありませんが、いずれにせよ、政策の中身のことです。

 

2.ロジ

ロジスティクスのことです。

一般的には「物流」とかそういう意味で捉えられることが多いですし、実際twitter上でもそのような誤解があったように見えましたが、別に外務省は物資の運搬を外注するとかそういうことをやるわけではありません。

役所でロジというと、「サブを実現するための手続きすべて」ということになります。

 

○会議室を確保する

○会議の委員の日程調整

○国会に提出する資料を印刷する

○出張の飛行機を取る

○法案作成のための特別チーム(タコ部屋というやつです)が編成されたからパソコンや筆記用具を確保する

 

まぁとにかく山ほどあるわけです

 

なぁんだ、雑用か、重要度は低いな、と思うかもしれませんが、役所ではロジも死ぬほど重要です。

ロジができて初めて一人前とか言われることすらあります。

次で説明しましょう。

 

 

3.サブとロジの関係

 

これまでの説明だと、ロジはあくまで手続き面の話なので、サブとは完全に別の話なのではないかと思われたかもしれませんが、実はそうではありません。

 

一つ、政治・行政に馴染みのない方でも想像しやすそうな例を使ってみましょう。

 

連続ドラマの撮影を考えます。

 

【サブ】

○脚本を作る

 

【ロジ】

○撮影許可等の手続きを整える

 

 

こんな感じとしましょう。これぐらい単純でないとかえってわけわからんことになりますので。

この場合、サブを決めてからロジを考えますね。

脚本があって、それを撮影するために許可を取ったりするわけです。

こことここで撮影許可が撮れたから、じゃあ脚本を練りましょう、とはならんわけです。

サブ→ロジ、という関係です。

 

しかし、実際はそんなに単純ではありません。

 

例えば、必要なシーンを撮るための許可が降りなかったとしましょう。

ロジ部隊に文句を言っていても仕方ないので、そのシーンがなくても物語が成立するようにストーリーを書き換えるしかありません。

つまり、

ロジ→サブ、ロジがサブに影響を与えてしまうのです。

 

そして、サブが変わるとロジをそれに合わせて調整する必要があり、そこで状況が変化すればまたサブに影響もあり、と相互に影響していきます。

 

 

本来は、もちろんサブが大事なはずです。

政策の中身ですから。

しかし、ロジが崩壊するとサブに支障をきたします。支障をきたすぐらいならまだいいのですが、最悪サブが全部なくなってしまうかもしれません。

つまり、サブを成功させるためにはロジの成功が必要不可欠なんです。

 

社会人の方ならきっとすぐにご理解いただけると思いますが、学生さんからしたらちょっとイメージ湧きづらいかもしれませんね。

 

 

4.政治とサブ・ロジ

 

それの究極の形の一つは「国会日程」です。

国会というのは論戦を行い政策のサブを議論する場所であるとともに、議決という手続き、つまりロジの場でもあります。

日程はロジですよね。

しかし日程がサブに影響を与えることは、よくある話なんです。

 

例えば、予算というものは4/1から新年度が始まりますから、前年度の3/31までに決まらなければ、4/1からは使えるお金が無くなるので困ったことになります。実際は暫定予算というものを組みますので最低限の支出は行われますが、政策的支出は止まるのでかなり大変なことになります。

 

さて、例えば野党が徹底抗戦して審議日程が足らず、このままでは3/31までに成立しそうにない、というロジ面での事故が発生しそうになることがあります。

そうすると、それが逆にサブに影響します。例えば、こういう政策では譲歩するから(=つまりサブ面で譲歩するから)、予算を通させてほしい(ロジを潤滑に進めたい)ということです。

日本では国会がねじれることがあまりありませんので、実際は数の力で押し切ってこのような例になることは少ないのですが、アメリカではしょっちゅうですね。

 

 

このように、政治・行政の世界では(でも)サブとロジというのはとても大事な話なのです。

 

 

5.外務省の取り組み

 

ここまで読んでいただいた方は、そんなにサブとロジが密接不可分なら、外務省のロジ民間委託って本当に可能なのか?と思われるかもしれません。

実際問題、そこが工夫のしどころなんだと思います。

物によっては、追い込まれてくると本当に数分の差が致命的な結果に繋がったりするので、サブとロジの連携は本当に重要です。

まぁロジにも本当に様々な種類があるので、出せるところから外に出していこうということでしょうか。

いずれにせよとても良い試みだと思いますし、うまくいけば各省も導入して政府全体の効率化が進められるのではないかなと、とても期待して見ています。

 

 

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<おことわり>

 このブログは私が所属する組織の見解を示すものではなく、あくまで個人の見解に基づくものであります。

 また正確性を一義的な目的とはしていないため、事実であるかどうかの裏づけを得ていない情報に基づく発信や不確かな内容の発信が含まれる可能性があります。

(参考:総務省 『国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たって』 H25.6.28)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000235662.pdf