現役官僚おおくぼやまとの日記

※このブログは私が所属する組織の見解を示すものではなく、あくまで個人の見解に基づくものであります。また正確性を一義的な目的とはしていないため、事実であるかどうかの裏づけを得ていない情報に基づく発信や不確かな内容の発信が含まれる可能性があります。

平成29年度補正予算斜め読み

先日可決成立した補正予算をパパッと眺めてみました。

 

 

1. 平成29年度補正予算 超概要

 

【総額】

 2兆7,073億円

 ※全角と半角混ざってるのはミスとお思いかもしれませんが、役所では時々こういう使い方します。1桁なら全角、2桁以上なら半角。ワードにすると幅が同じになるからだと思う。でも3桁でも123なんて書き方はしないから論理破綻してる気がするし、個人的にはものすごく嫌いな表記法。

 

【目玉(とされている項目)】

 生産性革命(3,931億円)

 人づくり革命(891億円)

 

【目玉というわけではないが額が大きい項目】

 災害復旧等・防災・減災事業(1兆2,567億円)

 総合的なTPP等関連政策⼤綱実現に向けた施策(3,465億円)

 

全部ちゃんと見たい方はこちら。

財務省HPで公表されている資料に飛びます。

http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2017/sy291220/hosei291222c.pdf

 

2. 生産性革命の中身

 

○ ものづくり・商業・サービス経営力向上支援〔1,000億円〕

○ 生産性革命に資する地方創生拠点整備交付金〔600億円〕

○ IT導入支援やAIシステム共同開発支援による企業の生産性向上〔524億円〕 

 

などなど

ここは経産省のHPを見てみましょう

http://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2017/hosei/pdf/pr_hosei.pdf

量が多い・・・

 

産業データ共有促進事業

AIシステム共同開発支援事業

 

このあたりはホットなトピックですね

結構具体的に書かれていて面白いので、興味ある方は上記URLから眺めてみてください。

 

 

3. 人づくり革命の中身

 

「子育て安心プラン」の前倒しのための保育の受け皿整備(保育所認定こども園等)〔808億円〕

 

今回の補正では、「人づくり」と銘打って保育の充実化を図ったのですね。

 

もっと詳しくみたい場合は厚労省のHPに行ってみましょう

http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/17hosei/dl/17hosei.pdf

○ 保育園等における事故防止対策の推進 3.1億円

○ 保育園等におけるICT化の推進 13億円

これは果たして人づくり革命なのか・・・?

 

○ 「子育て安心プラン」の前倒しによる保育の受け皿整備の推進 643億円

保育の受け皿整備はありがたいですね、施策の細かい内容は見てないけど

これぐらいの歳になると、保育園困ったみたいな会話も増えてくるので、割と身近なトピック

 

 

 

資料をずっとみていると、ゲシュタルト崩壊というか、政府の資料に「革命」の文字が踊り狂っているのがなんだかおかしく見えてきました笑

 

 

4. <トピック> 補正でやる必要があるのか問題

 

 霞ヶ関では古典的な議論ですが、補正予算には補正予算に本来含まれるべきでないものが含まれてしまってるんじゃないか、という問題があります。

 予算というのは原則、1年に1回組まれることになっています。4月から翌年3月までの1年間のお金の使い道を決めるもので、2018年4月からの予算はまさに議論が始まったところです。説明が前後しますが、補正予算と対比して当初予算とか言われます。

 国が税金を使いたい放題すると困るので、年に1回、国民(の代表である国会)の了承を得て、1年間の金の使い道をあらかじめ決めておこうということです。

 ところが、このやり方だと、年初には予想していなかった突発事項が発生した時に対応できなくなってしまうんですね。例えば地震や台風などの大規模災害や、深刻な経済危機とかそういうものです。

 そこで、"予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出"(財政法29条より)のために、追加的に予算を組むことが認められています。これが補正予算です。

 

 よって、本来であれば補正予算というのは、「特に緊要(緊急に必要、ってことです)となった経費」のみ認められるので、その緊要性が必要なんですよね。

 ところが実際には、それっぽくないものがよく混ざってます。

 

 理由はいろいろあるんですが、一つには、補正は当初予算と比べると査定が甘い、というのがあります。なので、「当初予算ではこれぐらいしかつけられないけど、補正で穴埋めするからね」的なやりとりがあったりします。

 国会の議論日数だけでも、当初予算は年頭から何十日もやるのに今回の補正は1週間ちょいですからね。

 

 こういう言い方すると語弊ありますが、わぁわぁやっている森友問題よりも多額の項目が多数含まれる補正予算の議論がほとんどされてないのって、なんかおかしいなと思います。金額の多寡が全てではないですけど、関係なくはないですよね? 森友って数億円ですけど、補正は数兆円の話ですからね・・・。

 森友がどうでもいいよーということではなく、

 補正も大事だよー頑張って作ってるからこっちのことも皆さん知ってくださいねーということが言いたいのでした。

 

 

<おことわり>

 このブログは私が所属する組織の見解を示すものではなく、あくまで個人の見解に基づくものであります。

 また正確性を一義的な目的とはしていないため、事実であるかどうかの裏づけを得ていない情報に基づく発信や不確かな内容の発信が含まれる可能性があります。

(参考:総務省 『国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たって』 H25.6.28)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000235662.pdf